事業は、まずネーミングありき
事業は、まずネーミングありき、だと思います。
礎(いしずえ)となる名前が決まらないと、すべての他のデザインに取り掛かることが出来ません。
新事業立ち上げに伴うデザイン工程(順番)
- ネーミング
- ロゴデザイン
- 事業カラーの決定
- 名刺・ホームページ・店舗・カタログ等のデザイン サービスのディティールのデザインetc…
ネーミングが出来ていなければロゴも作れませんし、名刺やカタログも作れないので営業にも差し障ります。
また、適切なネーミングやロゴが出来ている(コーポレートアイデンティティが確立されている)と、デザインやサービス内容の方向性に迷った際に、「うちの場合、これはしないほうがいいな」と判断の基準に出来ます。つまりブランディングの基点となるわけです。
ネーミングのコツ
事業のネーミングに必要なものは、センスという曖昧なものを除けば、
- 名前に求められる条件を具体的に挙げる
- 案をGoogleで検索し、競合する名前を確認
- 周りの人間の感想を聞く
という作業を繰り返すことです。
事業に対する熱意と時間があれば、以上のコツに則って、誰にでも最善のネーミングが出来るはずです。
パソラボのネーミング
パソラボの場合、起業当初にはITコンサルティング・ホームページ制作・医学論文グラフィック制作…といった業務を展開する予定でした。しかし変化の激しいコンピュータ業界なので、柔軟にサービス内容を対応させていくことを考え、名前にはある程度の幅を持たせつつも、コンピュータ関連の業種であることは、名前を見ただけで伝わるようにしたいと考えました。
ネーミングの要件をまとめると、次の通りとなりました。
- 覚えやすいこと(カタカナ3文字、4文字が理想)
- 一般の方にも業態(コンピュータ関連)がイメージしやすいこと
- 少なくともホームページ制作を依頼できる程度の気が利いた名前であること
- 同業者で使われていない名前であること(Google検索結果)
- 英語表記にした際に、下品な意味などがないこと
- 外国人にとっても発音が困難でないこと
- 混乱させない名前であること(ユーザビリティ)
覚えやすいこと、業態がイメージしやすいこと
業態を連想させるカタカナ3文字 or 4文字の造語、となるとかなりハードルが上がります。
一般の方に伝わるためには、「パソコン」「コンピューター」「ウェブ」「データ」「ドット」「コム」などを使ったほうが良さそうですが、シンプルなものは既に他のサービスで使われていたりします。
没案: |
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徳島エリア向けのサービス予定なので、検索にもひっかかりやすくなるように地域名を文字を入れるのもありかなと思いましたが、将来的にウェブサービスのように地域に関係なく展開する可能性もゼロではないので、地域名は外すことにしました。
また、個人的には「ウェブ」という言葉の響きは好きなのですが、妻に「クモの巣みたいでイヤ」と言われたため、候補から外しました。ウェブにどっぷりつかっているとわからない感覚ですが、一般には「クモの巣?」と思う人もいるということでした。
少なくともホームページ制作を依頼できる程度の気が利いた名前であること
これはそのままですが、ホームページ制作はセンスを売り物にする仕事でもあるので、最低限ダサくない名前である必要があります。覚えやすい⇒ダサい、とならないように気を付けました。
同業者で使われていない名前であること
インターネットで事業名を検索した際に、同名の業者や、同名の無関係の情報が出てくると非常に紛らわしいですね。競合する情報がなければ一番上に表示されるため、世界で誰も使っていない名前が理想です。パソラボの場合は、他業種に「パソラボ」さんがいらっしゃいますが、あまりに業種が異なるということで、ここは妥協しました。
英語表記にした際に、下品な意味などがないこと
日本だと大手企業の商品でも、英語に訳すと変な意味のネーミングだった、というケースが少なくないと思います(例:「ポッキー(Pocky)」は英語では男性器の隠語と同綴異義語)。田舎でも外国人が珍しくないご時世、お客様が外国人という可能性もありますので、英語での意味・響きにも考慮しました。
ちなみに没案の「トックス」というのは、「徳島」の響きと、「Tokushima Computer Service ⇒ ToCS」の意で、検索結果での競合サービスもなく、いいかもしれないと思ったのですが、toxinは英語で毒素、toxicはその形容詞だったりして、毒がイメージされる響きはまずいと思い、却下しました。
外国人にとっても発音が困難でないこと、混乱させない名前であること
お客様が外国人である可能性を考えて、英語で発音しづらい名前は避けようと考えました。パソラボのラボはlaboratory(研究室)のlabから来ており、英語で略すならlaboでなくlab(ラブ)となります。
案1)日本人向けにpasolaboとする
外国人がlaboという綴りを見た場合、「なぜlabでなくlaboなのか?」と違和感を覚えます。
(※無印良品が「muji labo」というのをやっていました。ならば有りなのかな~とも思ったり。)
案2)英語に合わせてpasolabとする
ホームページアドレスやメールアドレスの表記がpasolabとなり、日本人なら「パソラブ」と読んでしまいそうです。肝心の日本人のお客様を混乱させてしまっては元も子もありません。そもそも英語ならlabをストレートな意味で捉えてしまって、何かの研究機関と思われてしまう可能性もあり、こちらもスッキリしません。
そこで、そもそも「パソ」の由来の「パソコン」自体が和製英語(略語)なので、「ラボ」も和製英語の扱いにすることにしました。つまり、外国人にとって、何かわからない造語(発音は容易)、ということで、「b」を「v」に変え、pasolavoとしました。末尾をvoとすると、「パソラーヴォ」と読め、イタリア語・スペイン語っぽい響きになり、斬新で悪くないと思いました。念のためpasoとlavoの意味を調べましたが、pasoはスペイン語で「ステップ」や「道」、lavoは「洗う」とか「水が流れる」といった意味でした。
pasolavoという英語表記はGoogle検索結果に出てこず、世界でただ一つの名前です。似たところだと「Pasolivo」というオリーブオイルのメーカーがアメリカにありましたが、これはpasolavoの発音が容易であるという裏付けになりました。
また、英語表記の見た目もpasolaboよりpasolavoのほうが格好良い気がしたので、英語表記はpasolavoとすることとし、最終案としました。
客観的な意見を他人に求める
最終決定の前に、他者(お客様になりそうな人)の意見を求めました。ずっと身内だけで考えていると、おかしな方向に行ってしまうことがあります。最終案の「パソラボ」は、「覚えやすいし、一回聞いたら忘れない」という知人の意見を確認してから、決定しました。
まとめ: ネーミングはシンプルなだけに産みの苦しみがある
ネーミングやキャッチコピーは、完成形だけ見たら簡単そうに見えてしまいますが、完成にいたるまでに、案をひねり出しては没、というのを繰り返す産みの苦しみがあります。また、様々な裏を取っておく必要がありますので、頭も使いますし、時間もかかりますね。
※こちらのサイトも具体的でわかりやすいです ネーミングの造語テクニック
ネーミングが決まったら、次はロゴデザインです!
» ロゴ作成についてはこちら
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1975年生まれ O型 | 愛媛大学法文学部卒業
レコードショップ運営~大利木材取締役[ ウェブ制作・運用/営業/CTO ]を経て、
2015年4月 パソラボ設立。